古布 タペストリー 解説文—- 村上清子

  〝布"には今も昔も、女性の思いが籠っています。
  幕末から明治 大正 昭和初期の古い着物、半襟、帯、裂、袱紗(ふくさ)などに残された職人たちの非凡な技術と
卓越したデザインセンスに魅せられ、その心意気が伝わってくる〝布"を愛おしく想いました。これらの布はどんな
人がどんな想いで纏ったのでしょうか。よく使い込まれ着衣する事は到底出来ない崩れ去る一歩手前の哀れな姿で
私の手許に蒐まってきた古布たちに、新しい生命を吹き込む思いで、タペストリーが生まれました。
「古布が主役」をコンセプトに布の生命を生かす事に心を砕きました。使用した縫い糸以外はすべて古い布です。
作品はどれも、無傷の美しさを持っていますが、実はどうしようもないようなボロボロの布たちで汚れやシミで一ミリ
違いで使えたり、使えなかったり、一ミリを争って如何に布を生かし切るかに古布タペストリー作りの醍醐味があり
ました。上手に汚れを避けて綺麗な部分だけを選びました。
出来上がった作品を眺めていると、この美しい布たちを作った偉大な職人たちの事を想い、改めて深い感動を
覚えます。
作品は名もない昔の職人たちから頂いた物ばかり、確実に失われつつある「手仕事」を哀惜し賛辞を送って止み
ません。

1995年 京都にて初個展。 2001年 パリ エスパスジャポンにて個展。2015年まで、奈良‐商工会館、
京町家-紫織庵(京都有形文化財)、京都府-八幡市立松花堂美術館別館、東京-時事通信ホール、大阪-花
外楼、浜松、大分、福岡-大宰府他、国内各地にて個展を開いてきました。
素材‐古布の美と作品のオリジナリティーに評価を得ました。

この度、写真家 田中 田さんの、高度な写真撮影技術に加え洗練された美的センスに裏付けされた素晴らしい
表現力によって、写真が出来上がりました。オリジナル作品を撮影して頂くのは初めての経験で、肌身をさらす
ような緊張感を覚えながら撮影が進みました。
全体像と部分、田さんの絶妙の切り取りで職人の手仕事の細部を見事に美しく再現して頂きました。実物の全体
を眺めていては到底気づく事が出来ない職人仕事の細部でした。このような細部をUPした画像は類例を見ない
ものです。

写真は実物とは一味違う客観性を持っていて少し距離をおいてタペストリーを眺める事が出来ました。
タペストリーは完全に一人歩きしています。〝タペストリー万歳"!!

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小 袖 繍い江戸ちりめん裂より

明治初期の鮮やかな小袖であったと思われます。紅絹をにおわせて二枚の小袖に仕上げました。 (380×350㎝)

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小 袖 黒留袖より

黒留袖の褄裾に控えめに模様を入れ、細やかな刺繍があしらわれていました。二枚の黒留袖より、小さな小袖に仕上げました。 (470×420㎝)

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小 袖 男児一つ身着物より

黒地の壁ちりめんを「の〆」に白抜きし、富士の峰と飛鶴、松原、波打ち際が見事に手描きされた男児一つ身着物から、紅絹をにおわせて六枚の小袖に仕上げました。

◎台布 濃紫(こきむらさき) (480×810㎝)

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小袖 縫い帯 半襟 博多帯より

縫い帯 半襟より小さな小袖を作り、無地ちりめんに押し絵の洗練された技法の切り嵌め細工で仕上げ、博多帯を縦にあしらいました。◎台布 白緑(びゃくろく)減紫(けしむらさき) (830×760㎝)

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小 袖 繍い江戸ちりめん裂より

江戸後期の見事な小袖であったと思われます。柔らかな江戸ちりめんに遠景、近景を、糊糸目(のりいとめ)で白抜きに染めあげ、刺繍が細やかに施されています。絵絹の上に紅絹をにおわせて小袖に仕上げました。
◎裂地 黄丹(おうに) (670×900㎝)

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村上コレクションも11回目を迎えます

この作業が始まった一回目の撮影から新発見の連続でした、この古布の作品にかかわらず昔から存在しつづけ
脈々と続いてきた日本人の独自の気高いセンス、驚くばかりの精緻な技術、それぞれが完璧なほどに調和して
その時代の背景をも彷彿と感じられるものばかりでした。撮影者としての私にとって一つ一つが驚嘆であり、同時
に日本文化の高さに今更ながら誇りを感じました。そして今を生きている私達が、改めて認識しておくべき貴重な
芸術品であることに気付かされました。

今回は村上清子さんの長年のコレクションの中に貴重な古 ( いにしえ ) の芸術品を見つけました。

それは100年以上の時代を経た、古布で創作された村上さんのオリジナルタペストリーです。前回の「市松人形」
が着ている着物は、それらの古布を人形の時代の古布を集めて村上さんが仕立てられたものです。それらの古布
が他にもしっかり保存されており、それを使ってタペストリーと言う形に創作されたものが、今回の写真集となりました。

展示しながらの撮影となり、撮影条件は良いとは言えないのですが、古布の持つ「卓越した美と、織物と刺繍の
技術・歴史的価値」、そしてそれをタペストリーと言う形に創作された、村上清子さんの新たな芸術品として他に類を
見ない新鮮な作品群となっています。 どうぞご覧になって下さい。 田中田

各解説文と写真の選択は村上清子さんによります。
田中 田 Web写真集・No Title の写真も
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小 袖 裾模様手描き繍い裂より

小さな木立と萩の花が細やかな手描きと刺繍で描かれ着物全体にぼかし染めが施された小袖であったと思われます。紅絹をにおわせて四枚の小袖に仕上げました。
◎台布 水縹(みずはなだ) 房 茜色(あかねいろ) (590×850㎝)

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小 袖 秋草絽ちりめん裂より

秋草が細やかに手描きされ、刺繍が控えめにあしらわれています。もとの着物は肩から裾にかけてぼかし染めが施こされていたと思われます。絵絹の上に紅絹をにおわせて三枚の小袖に仕上げました。

◎裂地 浅葱鼠(あさぎねず) (400×1140㎝)

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鳥楽華園 総刺繍丸帯より
丸帯の表裏に全面にぎっしり刺繍をした見事な鳥楽華園
二十余年古布を追ってきた私が二00六年に初めて出会った正に目から鱗の逸品。私の知る限りでは日本の衣裳の伝統を辿ってもこんな発想の意匠を見る事は出来ない。ヨーロッパの影響を受けているのでしょうか?制作年代は大正から昭和初期と思われます。
大阪船場の商家に所蔵されていた物を譲り受けました。 (64×300㎝)

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竹に橘 小袖裂より

白綸子地に摺飛田(すりひった)と美しい刺繍を施した小袖であったと思われます。絵羽模様になっています。 (670×1620㎝)

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花の丸模様と蝶々 麻地繍い裂より

麻地に縒りのかからない糸で美しい刺繍が施されています。小幅な裂の状態で入手しました。どのように使われていたか知るすべがありません。 (830×1540㎝)

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岸辺 繍い琴がけ より

渋い地色に色をおさえて、小菊と葦、岸辺を泳ぐおしどりの美しい姿を刺繍が見事に描ききっています。

◎地色 肉桂色(にっけいいろ) (390×1260㎝)

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涼 繍い帯、ちりめん裂 より

白絽にちりめんの流水模様を重ねさらに繍い帯より抜きとった五匹の金魚を泳がせ涼しげに仕上げました。 (350×1400㎝)

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梅 繍い帯 より

茶系統の色づかいで梅を描くという奇抜な発想におどろきます。台布はかみしもの布地を二枚重ねにしました。

◎帯地 鉄紺(てつこん) (340×1190㎝)

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櫛合わせ 手しぼり帯地と江戸ちりめん裂より

総手絞りの帯地と江戸ちりめんを合わせ、明治、大正期の櫛を飾りました。

◎しぼり帯地 錆桔梗(さびきょう)(520×610㎝)

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こうがい合わせ てがら、黒しゅす帯より

髪飾りかのこ(てがら)と黒しゅす帯、江戸ちりめんを細かくつなぎ合わせ、明治、大正期のこうがいを飾りました。 (280×730㎝)

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面(おもて) 袱紗より

能面「翁」が箱の中に細やかな文様の布とともにおさめられています。

◎地色 素色(しろいろ) (620×490㎝)

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舞樂 「蘭陵王」 袱紗より
国の重要無形民俗文化財に指定されている、「春日若宮おん祭りの神事芸能」の一つ、舞楽「蘭陵王」の面や楽器、小道具を描いた袱紗より仕上げました。細かな刺繍があしらわれています。袱紗として非常に珍しい図柄ではないでしょうか。◎地色 蒸栗色(むしくりいろ) 〈57×74㎝)

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鶴 亀 袱紗より

鶴亀、御簾にくす玉、三方、几帳、松竹梅が、にぎやかに豪華に描かれています。

◎枠の色 鉄紺(てつこん)
(600×710㎝)

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扇面 袱紗より

とりどりの小さな扇が、繊細に丁寧に描かれています。

◎枠の色 錆桔梗(さびききょう) (470×470㎝)

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亀 亀 亀 袱紗より

明治の女性の最高の手仕事―押し絵の洗練された技法である「切り嵌め細工」により表現された亀、、、この手技だけは残念ながら私には再現出来ません。(49×60㎝)

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武者 袱紗より

明治の女性の最高の手仕事―押し絵の洗練された技法である「切り嵌め細工」の袱紗より仕上げました加藤清正ではないでしょうか。

◎地色 白緑 (びゃくろく)
(630×650㎝)

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貝 桶  袱紗より

ふたつの貝桶が細やかに描かれています。 (500×500㎝)

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小菊 繍い菊文様裂より

咲き乱れる小菊を二枚の扇面にとり渋い色の帯地の上に飾りました。上段向かって左の濃い赤紫の菊は「輪さがら」と言う刺し方です。

◎帯地 朽葉色 くちばいろ (490×960㎝)

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几 帳 博多帯より

博多帯のモダンな花柄を無地ちりめんとしぼり布で飾りました。 (640×780 ㎝)

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てっせん 刺繍半襟より

美しい「てっせん」の花が色鮮やかに刺繍されています。矢羽根文様の小さなちりめんでやさしく包みました。江戸後期の小袖布と一緒に入手しました。

◎半襟地 白緑(びゃくろく) (260×480㎝)

内緒話 手仕事が非常に巧いですね。

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竹屋町 打ち敷より

竹屋町縫い- 紋紗(雲形 藤縦湧)、薄物にその組織(地緯-じぬき)に沿って平金糸を縫い入れて模様を表現する。平金糸は表裏があり裏面に出た糸を挿し返す際に三角を作って表に返す、高度な技術が要求される。上から文様化された菊、鳳凰、桐が描かれている。大きな打ち敷に僅かにこの三点が残されていた。◎砥の粉色(14×111㎝)
・竹屋町は江戸初期、中国から技術を学び、京都の竹屋町で作り出された事からこう呼ばれる。主に軸の表装に用いられる。
後には同趣の織物となる。
・2005京都市中京区竹屋町通り界隈を歩いてみたが手がかりは見つけられなかった。

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飛 鶴 江戸うずらちりめん裂より

鮮やかな地色に大小の鶴が浮かぶように飛んでいます。軽やかに仕上げました。

パリで個展を開いた時、来訪された日本人の古布蒐集家がこの布の残りがあったら少しでも譲ってくれと言われ後程お送りしました。喜んで頂きました。

◎裂地 猩々緋(しょうじょうひ)(420×880㎝)

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糸手まり 繍い帯より

丸めた綿を芯に色糸でかがって作る玩具―糸手まりが晴れやかに刺繍されています。

◎帯地 石竹色(ピンク) (340×590㎝)

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花丸 紋様 繍い帯より

どんな娘さんが締めていたのでしょう。可愛らしい色合いの花模様と宝づくしの丸模様が色鮮やかに刺繍されています

花丸模様は元禄頃から流行し、小袖や振袖の意匠として長く使われました。

◎帯地 膚色(はだいろ) (650×490㎝)

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花の丸紋様 繍い帯より

秋の花がリズミカルに輪を描いています。台布は蚊帳の布地を2枚重ねにしました。花模様の葉の微妙な色目に合う台布地を時間をかけて探しました。ぴったりではないでしょうか。

◎台布 錆浅葱(さびあさぎ) (450×740㎝)

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古 鏡 繍い帯より

古鏡の裏側の美しい模様が細やかに刺繍されています。ラメ糸が使われています。ラメ糸は大正時代以降に使われ出したと言われています。 (270×840㎝)

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渦動 絽帯より

飛び散る雫、光る渦。 (32×66㎝)

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面(おもて) 繍い帯より

能面「翁」とそれを入れる面箱が美しい色合いで丁寧に刺繍されています。帯地は大きい市松模様です。

◎帯地 エメラルドグリーン (350×540㎝)

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波紋 繍い帯 より

砕ける波頭を丸紋にし金糸銀糸漆糸で勢い良く描いています。 (450×560㎝)

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やぶさめ 繍い帯より

馬を疾走させながら馬上よりやつぎばやに鏑矢で的を射る競技・…やぶさめ。その衣装の一つである帽子を意匠として女性用の帯に使ったなんとも粋な発想です。

◎帯地 ティールグリーン (310×500㎝)

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桜と結び文 染、繍い帯より

咲きこぼれる枝だれ桜と結び付けられた結びぶみが黒地色に浮かび上がりました。

(450×850㎝)

 

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海を渡る「てふてふ」 染帯と刺繍布より

糊糸目(のりいとめ)で波が細かく染め出されています。木綿地に蝶をいくつも並べて刺繍した布から蝶を抜き取って波間に飛ばせました。蝶は海を渡ると言います。◎帯地素鼠(すねず)(260×540㎝)

 

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麻 麻裂地より

渋い色目の麻裂地より仕上げました。江戸の布と思われます。

◎地色 海松茶(みるちちゃ) (31×94㎝)

 

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雨竜(あまりょう) 古裂より

雨竜は、雨を起こすといわれる想像上の動物で、竜の一種 。トカゲに似て、角は無く尾は細い。2005年、早朝の露店で山のように積み上げられた古着の中からこの布一枚を見つけ出した、うれしかった。幕末~明治初期。刺繍がとても巧い。
◎濃緋(こきひ) (32×44㎝)

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舌切り雀 江戸ちりめん裂より

渋い色合いで舌切り雀のおとぎ話の世界が手描きされています。入手したときは腰ひもの一部になっていました。◎裂地 生壁色(なまかべいろ) (290×640㎝)

 

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和書 繍い帯より日本刺繍の一種、絽織を枠張りにして織地の透き目に金糸銀糸色糸を刺し布地を刺繍でうめた絽刺しの技法で和とじの書物を華やかに描かれた繍い帯より仕上げました。ヨーロッパで言う”プチポワン”の日本版です。
◎地色 〈黄丹 おおに〉 (58×62㎝)

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ながるる水 繍い帯より

白絽帯に染め出された黒いうちわにしらさぎの美しい姿と葦の葉が涼しげに刺繍されていました。無地しゅす帯の上に飾りました。ながるる水と文字紋様が読みとれます。
◎帯地 水縹(みずはなだ) (470×790㎝)

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横 笛 繍い帯より

白絽さやかた地紋様に横笛を吹く人物と芝つゆが情緒豊かに刺繍で見事に描かれています。顔の表情、手先の美しさに注目です。 (470×790㎝)

人物の顔に比べて足が大きいと、、、そう言えば、バランスがいささか、、、

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虫づくし 繍い帯より

黒紗帯に虫づくしの刺繍が見事です。黒の帯芯を入れたとても粋な夏帯でした。古い簾の上に飾りました。 (470×810㎝)

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風 絽刺し帯より

日本刺繍の一種、絽織を枠張りにして織地の透き目に銀糸色糸を刺し布地を刺繍でうめる絽 刺しの技法で、団扇が美しく描かれています。
ヨーロッパで言う”プチポワン”の日本版です。
◎地色 シェルピンク (48×94㎝)

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村上コレクションも11回目を迎えます

この作業が始まった一回目の撮影から新発見の連続でした、この古布の作品にかかわらず昔から存在しつづけ
脈々と続いてきた日本人の独自の気高いセンス、驚くばかりの精緻な技術、それぞれが完璧なほどに調和して
その時代の背景をも彷彿と感じられるものばかりでした。撮影者としての私にとって一つ一つが驚嘆であり、同時
に日本文化の高さに今更ながら誇りを感じました。そして今を生きている私達が、改めて認識しておくべき貴重な
芸術品であることに気付かされました。

今回は村上清子さんの長年のコレクションの中に貴重な古 ( いにしえ ) の芸術品を見つけました。

それは100年以上の時代を経た、古布で創作された村上さんのオリジナルタペストリーです。前回の「市松人形」
が着ている着物は、それらの古布を人形の時代の古布を集めて村上さんが仕立てられたものです。それらの古布
が他にもしっかり保存されており、それを使ってタペストリーと言う形に創作されたものが、今回の写真集となりました。

展示しながらの撮影となり、撮影条件は良いとは言えないのですが、古布の持つ「卓越した美と、織物と刺繍の
技術・歴史的価値」、そしてそれをタペストリーと言う形に創作された、村上清子さんの新たな芸術品として他に類を
見ない新鮮な作品群となっています。 どうぞご覧になって下さい。 田中田


◆◆◆ 写真はクリックすると大きくなります

田中 田 Web写真集・No Title の写真もご覧ください
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茶の湯 繍い帯より
黒しゅす帯にお茶道具とつつじの花が上品に描かれています。台布はかみしもの布地を二枚重ねにしました。

◎台布 憲法色(けんぽういろ) (350×560㎝)

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丸 窓 江戸ちりめん裂より
一柄ごとに異なる生垣が地色のぼかし染めの中に美しく手描きされ、小さな鳥も飛んでいます。褄裾模様の着物であったと思われます。二色の無地しゅす帯の丸窓から生垣をご覧ください。
◎裂地 浅葱鼠(あさぎねず) (650×800㎝)

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ふしぎ文様 江戸ちりめん裂とアンティークレースより

なにを調べても同類のものに出合わない不思議な文様の江戸ちりめんとパリで買った古い手刺しのアンティークレースの模様がとけ合った風変わりな作品です。縦の太い線は大正時代の帯締めです。
◎裂地 石板色(せきばんいろ) (450×550㎝)

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唐人 蝙蝠 鹿 古裂より

唐人二人 蝙蝠二頭 鹿。吉祥の図。極小のさがら詰め、唐人の顔の表現は実に高度な刺繍の技術が駆使されています。中国の刺繍でしょうか。両サイドはフランスのアンティークビーズです、ミスマッチ!
  宮中の衣裳の残布。明治末から大正時代に宮中で針女(しんにょ)-(縫い物を司る人)を務めた方の知人を通して頂戴する。明治末期。
(30×12㎝)

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ひも飾り繍い合わせ ちりめん裂
より

一つ身の着物の付けひもを飾る、今では懐かしい飾り繍いです。図柄は大正時代から昭和初期のものです。 (670×670㎝)

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ひも飾り繍い合わせ ちりめん裂
より

一つ身の着物の付けひもを飾る、今では懐かしい飾り繍いです。
図柄は明治時代のものです 。
(410×750㎝)

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古布 タペストリー 解説文—- 村上清子

  〝布"には今も昔も、女性の思いが籠っています。
  幕末から明治 大正 昭和初期の古い着物、半襟、帯、裂、袱紗(ふくさ)などに残された職人たちの非凡な技術と
卓越したデザインセンスに魅せられ、その心意気が伝わってくる〝布"を愛おしく想いました。これらの布はどんな
人がどんな想いで纏ったのでしょうか。よく使い込まれ着衣する事は到底出来ない崩れ去る一歩手前の哀れな姿で
私の手許に蒐まってきた古布たちに、新しい生命を吹き込む思いで、タペストリーが生まれました。
「古布が主役」をコンセプトに布の生命を生かす事に心を砕きました。使用した縫い糸以外はすべて古い布です。
作品はどれも、無傷の美しさを持っていますが、実はどうしようもないようなボロボロの布たちで汚れやシミで一ミリ
違いで使えたり、使えなかったり、一ミリを争って如何に布を生かし切るかに古布タペストリー作りの醍醐味があり
ました。上手に汚れを避けて綺麗な部分だけを選びました。
出来上がった作品を眺めていると、この美しい布たちを作った偉大な職人たちの事を想い、改めて深い感動を
覚えます。
作品は名もない昔の職人たちから頂いた物ばかり、確実に失われつつある「手仕事」を哀惜し賛辞を送って止み
ません。

1995年 京都にて初個展。 2001年 パリ エスパスジャポンにて個展。2015年まで、奈良‐商工会館、
京町家-紫織庵(京都有形文化財)、京都府-八幡市立松花堂美術館別館、東京-時事通信ホール、大阪-花
外楼、浜松、大分、福岡-大宰府他、国内各地にて個展を開いてきました。
素材‐古布の美と作品のオリジナリティーに評価を得ました。

この度、写真家 田中 田さんの、高度な写真撮影技術に加え洗練された美的センスに裏付けされた素晴らしい
表現力によって、写真が出来上がりました。オリジナル作品を撮影して頂くのは初めての経験で、肌身をさらす
ような緊張感を覚えながら撮影が進みました。
全体像と部分、田さんの絶妙の切り取りで職人の手仕事の細部を見事に美しく再現して頂きました。実物の全体
を眺めていては到底気づく事が出来ない職人仕事の細部でした。このような細部をUPした画像は類例を見ない
ものです。

写真は実物とは一味違う客観性を持っていて少し距離をおいてタペストリーを眺める事が出来ました。
タペストリーは完全に一人歩きしています。〝タペストリー万歳"!!

各解説文と写真の選択は村上清子さんによります。

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