村上コレクションも11回目を迎えます

この作業が始まった一回目の撮影から新発見の連続でした、この古布の作品にかかわらず昔から存在しつづけ
脈々と続いてきた日本人の独自の気高いセンス、驚くばかりの精緻な技術、それぞれが完璧なほどに調和して
その時代の背景をも彷彿と感じられるものばかりでした。撮影者としての私にとって一つ一つが驚嘆であり、同時
に日本文化の高さに今更ながら誇りを感じました。そして今を生きている私達が、改めて認識しておくべき貴重な
芸術品であることに気付かされました。

今回は村上清子さんの長年のコレクションの中に貴重な古 ( いにしえ ) の芸術品を見つけました。

それは100年以上の時代を経た、古布で創作された村上さんのオリジナルタペストリーです。前回の「市松人形」
が着ている着物は、それらの古布を人形の時代の古布を集めて村上さんが仕立てられたものです。それらの古布
が他にもしっかり保存されており、それを使ってタペストリーと言う形に創作されたものが、今回の写真集となりました。

展示しながらの撮影となり、撮影条件は良いとは言えないのですが、古布の持つ「卓越した美と、織物と刺繍の
技術・歴史的価値」、そしてそれをタペストリーと言う形に創作された、村上清子さんの新たな芸術品として他に類を
見ない新鮮な作品群となっています。 どうぞご覧になって下さい。 田中田


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茶の湯 繍い帯より
黒しゅす帯にお茶道具とつつじの花が上品に描かれています。台布はかみしもの布地を二枚重ねにしました。

◎台布 憲法色(けんぽういろ) (350×560㎝)

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丸 窓 江戸ちりめん裂より
一柄ごとに異なる生垣が地色のぼかし染めの中に美しく手描きされ、小さな鳥も飛んでいます。褄裾模様の着物であったと思われます。二色の無地しゅす帯の丸窓から生垣をご覧ください。
◎裂地 浅葱鼠(あさぎねず) (650×800㎝)

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ふしぎ文様 江戸ちりめん裂とアンティークレースより

なにを調べても同類のものに出合わない不思議な文様の江戸ちりめんとパリで買った古い手刺しのアンティークレースの模様がとけ合った風変わりな作品です。縦の太い線は大正時代の帯締めです。
◎裂地 石板色(せきばんいろ) (450×550㎝)

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唐人 蝙蝠 鹿 古裂より

唐人二人 蝙蝠二頭 鹿。吉祥の図。極小のさがら詰め、唐人の顔の表現は実に高度な刺繍の技術が駆使されています。中国の刺繍でしょうか。両サイドはフランスのアンティークビーズです、ミスマッチ!
  宮中の衣裳の残布。明治末から大正時代に宮中で針女(しんにょ)-(縫い物を司る人)を務めた方の知人を通して頂戴する。明治末期。
(30×12㎝)

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ひも飾り繍い合わせ ちりめん裂
より

一つ身の着物の付けひもを飾る、今では懐かしい飾り繍いです。図柄は大正時代から昭和初期のものです。 (670×670㎝)

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ひも飾り繍い合わせ ちりめん裂
より

一つ身の着物の付けひもを飾る、今では懐かしい飾り繍いです。
図柄は明治時代のものです 。
(410×750㎝)

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古布 タペストリー 解説文—- 村上清子

  〝布"には今も昔も、女性の思いが籠っています。
  幕末から明治 大正 昭和初期の古い着物、半襟、帯、裂、袱紗(ふくさ)などに残された職人たちの非凡な技術と
卓越したデザインセンスに魅せられ、その心意気が伝わってくる〝布"を愛おしく想いました。これらの布はどんな
人がどんな想いで纏ったのでしょうか。よく使い込まれ着衣する事は到底出来ない崩れ去る一歩手前の哀れな姿で
私の手許に蒐まってきた古布たちに、新しい生命を吹き込む思いで、タペストリーが生まれました。
「古布が主役」をコンセプトに布の生命を生かす事に心を砕きました。使用した縫い糸以外はすべて古い布です。
作品はどれも、無傷の美しさを持っていますが、実はどうしようもないようなボロボロの布たちで汚れやシミで一ミリ
違いで使えたり、使えなかったり、一ミリを争って如何に布を生かし切るかに古布タペストリー作りの醍醐味があり
ました。上手に汚れを避けて綺麗な部分だけを選びました。
出来上がった作品を眺めていると、この美しい布たちを作った偉大な職人たちの事を想い、改めて深い感動を
覚えます。
作品は名もない昔の職人たちから頂いた物ばかり、確実に失われつつある「手仕事」を哀惜し賛辞を送って止み
ません。

1995年 京都にて初個展。 2001年 パリ エスパスジャポンにて個展。2015年まで、奈良‐商工会館、
京町家-紫織庵(京都有形文化財)、京都府-八幡市立松花堂美術館別館、東京-時事通信ホール、大阪-花
外楼、浜松、大分、福岡-大宰府他、国内各地にて個展を開いてきました。
素材‐古布の美と作品のオリジナリティーに評価を得ました。

この度、写真家 田中 田さんの、高度な写真撮影技術に加え洗練された美的センスに裏付けされた素晴らしい
表現力によって、写真が出来上がりました。オリジナル作品を撮影して頂くのは初めての経験で、肌身をさらす
ような緊張感を覚えながら撮影が進みました。
全体像と部分、田さんの絶妙の切り取りで職人の手仕事の細部を見事に美しく再現して頂きました。実物の全体
を眺めていては到底気づく事が出来ない職人仕事の細部でした。このような細部をUPした画像は類例を見ない
ものです。

写真は実物とは一味違う客観性を持っていて少し距離をおいてタペストリーを眺める事が出来ました。
タペストリーは完全に一人歩きしています。〝タペストリー万歳"!!

各解説文と写真の選択は村上清子さんによります。

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